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恵人橋

 四川省から昆明、大理を経由してきた「南方シルクロード」は、保山で主に2つのルートに分かれ、それぞれ西のミャンマーへと続いていきます。1つは龍稜、潞西、畹町を通り抜けるもので、日中戦争中には「滇緬公路」として活躍したルートです。もう1つは道街、騰冲、猴橋を通り抜けていくルートです。いずれのルートも保山市を南北に貫いて流れる怒江(サルウィン川)を越えねばならず、昔から、怒江の上には立派な橋が架けられてきました。前者のルート上に架かっていた橋を「恵通橋」、後者のルート上に架かっていた橋を「恵人橋」といいます。どちらの橋も1942年5月の日本軍侵攻時に、日本軍の侵入を防ぐために破壊されてしまいましたが、1944年5月から始まった中国軍(中国雲南遠征軍)の日本軍への反攻作戦では、修復された後、渡河ポイントとして重要な役割を果たしました。
 恵人橋は、怒江沿いに位置する道街(かつては倒街といった。)という小さな町から近いところにあります。保山の街からは、西南に約30kmの距離になります。残念なことに、今では橋は廃され、つり橋のかかった姿を見ることはできませんが、その遺構から、たくさんの商隊でにぎわった往年の姿を十分に偲ぶことができます。
 恵人橋は、清の道光10年(1830年)から道光19年(1839年)まで、9年もの月日を費やして造られました。この辺りは怒江の川幅が比較的広いため、中央部に幅約25m、高さ約15mの巨大な船のような橋脚が設けられ、その間をそれぞれ鉄製のつり橋が結んでいました。かつては交通の要所らしく、両岸に立派な楼門も設けられていましたが、今では、西岸にのみ、半ば朽ちかけた姿を見かけることができます。恵人橋で特筆されるのが、つり橋の各出入り口に設けられた石造りの立派な門です。最上部に設けられた三角形状の飾りは、西洋建築の影響を受けているとも言われています。
 橋の西側の山の上には、日本人も働くコーヒー農園が広がっています。知る人ぞ知る“雲南コーヒー”の産地を見学してみてはいかがでしょうか?

 


“橋の博物館”
 堂々とした造りの恵人橋でしたが、1947年には、南に2kmほどのところに新たに西洋式の「東風橋(全長148m)」が架けられたため、廃されました。その後、1988年には、自動車が離合できる幅を持つ新「東風橋」が旧東風橋の約100m下流に架けられました。現在では、更に5kmほど南に架けられた1994年完成の「三達地怒江大橋(全長416m)」が、怒江を跨ぐメインルートとなっています。距離10kmほどの間に、新旧4本の橋の姿を見ることができ、さながら“橋の博物館”といったところです。
 現在、新東風橋と怒江大橋の間では保龍高速道路の工事も進んでおり、完成の暁には、また1本新しい橋(全長2208m)が加わることになります。

 




 

     
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